2022.05.19
採用市況感レポート2022年3月(厚生労働省調査データから)
皆さんこんにちは。アマチュアセックスビデオアナリストチームです。
2022年3月分の一般職業紹介状況が2022年4月26日に、毎月勤労統計調査(速報)が2022年5月9日に公表されました。こちらに基づいて2022年3月分の採用市況感レポートをお届けします。
有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2022年4月26日データ)
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
2022年3月の有効求人倍率は1.22と、前月から0.01ポイント増という結果となりました。これで4期連続での増加となり、2022年に入ってからは微増の傾向が続いています。3月は求人市場が活発になる時期であり、同じタイミングでまん延防止等重点措置が解除されましたが、この傾向にはどのような背景があるのかを後ほど解説してまいります。
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
企業の新規採用数をまとめた新規求人数推移(季節調整値)では、対先月比1.04%増(+35,744件)という結果となりました。ビジネス自体の動きが鈍化する2月とは異なり、年度末でもある3月は翌年度に向けた採用活動を行う企業が増加する時期。例年通りの傾向とも見られますが、前年同月と比較すると7.5%増加と、コロナ禍明けからのリスタートをはかろうとする企業が増えていることが大きな特徴と言えるでしょう。
産業別の傾向を見ると製造業が22.0%増、情報通信業が16.9%増、運輸業・郵便業が12.6%増となっており、逆に教育・学習支援業が1.6%減という結果となっています。これは前月に引き続き、年度末にあたって学習塾が一時的に採用を控える時期に当たるためです。
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
ハローワークへ新しい仕事を求めて求職登録した人数を示す、新規求職申込件数推移(季節調整値)では対前月比1.07ポイント増(+24,800件)で、求職者数も求人数同様に大幅な増加という結果となりました。なお、前年同月と比較すると求職者数自体に大きな変化が見られず、傾向自体は例年通りと考えられます。
大幅ではありますが、新規求人数も求職者数も前月と比べてほぼ同じ割合で増加していることから、3月の有効求人倍率も微増という結果となりました。しかし前年同月での比較でそれぞれの比率に違いが出る形となり、有効求人倍率の数字以上に売り手市場へ移行していることが今回の分析で明らかとなりました。人手不足もじわじわと感じられる状況である以上、採用活動においてはできる限りスピーディーに、かつ競合対策を講じていく必要があるでしょう。
毎月勤労統計調査速報2022年3月(2022年5月9日データ)
(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)
毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は286,567円で、前月から1.6%の増加という結果となりました。そのうち一般労働者が372,765円(1.5%増)でしたが、パートタイム労働者が97,309円(0.2%減)と微減いう結果に。所定内給与については一般労働者が317,546円(0.6%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,232円(1.8%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.5%増で、そのうち一般労働者が1.5%増、パートタイム労働者が0.4%増加。全体的にここしばらくの賃上げ傾向が継続中という背景もありますが、所定外労働時間が10.3時間と対前月2.8%増加していることも要因の一つと考えられます。また、今後も社会情勢の影響を受けての物価上昇が続くことが考えられ、賃上げのメリットを享受できないリスクへの対策も講じていく必要があるでしょう。
労働異動においては飲食サービス業の4.5%を筆頭に、医療・福祉が2.4%、建設業が対前年比2.0%の大幅な増加が見られます。逆に鉱業・採石業等で-8.9%、複合サービス業の-6.3%となり、特に複合サービス業は前月に引き続き、郵便局の合理化が大きく影響されている模様です。
以前に比べてコロナ禍の影響は小さくなりつつありますが、それと入れ替わるようにウクライナ情勢での影響を強く受ける業界も増えている状況です。とはいえ、人材ニーズは高いレベルと維持しながら推移していくことが見込まれていますので、今後も市場動向を見据えながらの採用活動を行っていきたいところです。なお、4月は年度はじめでもあり、数値的には一旦落ち着くのではないかと見込まれています。
■トピックス
コロナ禍で新しい働き方として注目を集め、導入をはかる企業が増えたテレワーク。自宅など場所を固定することなく仕事ができることで、大手企業を中心に従業員の転勤を廃止するところが増えています。
これまで会社からの辞令による転勤は従業員のキャリア形成、そして企業成長のために行っていたものですが、実際には離職・退職の引き金になるケースも多かったのも事実。そこで今回は企業の転勤事情にフォーカスを当て、現在のトレンドについて解説する記事を紹介します。
○消える会社員の宿命 大手で望まぬ転勤、廃止続々 テレワーク浸透で
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/903370/
大手企業を中心に、従業員が望まない転勤を廃止するケースが広がっているレポート記事。テレワークの普及拡大に伴い、都心から地元にUターンをしての在宅勤務に移行したケースを取り上げながら、独自の取り組みを行っている企業を紹介しています。
○「望まない転勤」をやめてほしい社員 vs 不都合が生じる企業 2パターンの解決策
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2204/12/news006.html
企業が自社都合による強制的な転勤を廃止することにより、企業と従業員が受けるメリットを紹介しています。同時に企業側が受けるデメリットにも触れながら、対策を怠ることで優秀な人材の確保や定着機会も逸してしまうことも紹介。パターンごとに解説が行われていますので、人事戦略の構築にも活かせる記事となっています。
○首都圏からの本社移転は2021年351社! コロナ禍でオフィスビル空室率が高止まり
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304210
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が発表した千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区における平均空室率によると、2022年3月は6.37%と10ヶ月連続で6%台の空室率が継続しているとのこと。専門家によるとコロナ禍によるテレワークの普及、業績悪化によるコスト削減などの合理化が理由として挙げられるとのこと。また、帝国データバンクが2022年2月に発表した「首都圏・本社移転動向調査」でも、2021年に首都圏から地方へ本社を移転した企業は351社に昇り、対前年比も20%以上の増加との結果が出ています。
■まとめ
トピックスでも取り上げたテレワークの普及拡大により、企業も経営の合理化などを目的とした地方在住者の積極的な雇用や活用が目立ちはじめています。同時に首都圏の大手企業で副業解禁の動きも活発となっており、大企業に勤務する人が地方企業の仕事をリモート副業で行うチャンスも広がっています。
雇用や就労における地理的な障壁がなくなることことは、地方の地域に根づいた企業と首都圏の大手企業が採用競合になり得ることを意味しています。特に大手企業のオフィス移転は地方企業にとって大きな脅威となる可能性が高く、状況によっては戦略の見直しをはかる必要も出てくるでしょう。
そこで自社の魅力や仕事上でのベネフィットがどこにあるのかを再認識するのと同時に、活性化する副業マーケットでの人材活用にも取り組むなど、採用戦略や雇用の仕組みなどを柔軟に再構築することも大事となります。現状のあらゆることをチャンスと捉え、積極的な行動によって競合に負けない採用を実現していきましょう。
※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。