2022.01.13
採用市況感レポート2021年11月(厚生労働省調査データから)
皆さんこんにちは。アマチュアセックスビデオアナリストチームです。
2021年11月分の一般職業紹介状況が2021年12月28日に、毎月勤労統計調査(速報)が2022年1月7日に公表されました。こちらに基づいて2021年11月分の採用市況感レポートをお届けします。
■有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2021年12月28日データ)
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
11月の有効求人倍率は1.15と、前月から増減なしという結果となりました。緊急事態宣言が全面解除となってから2ヶ月が経過し、国内経済の再稼働に伴って有効求人倍率の向上も期待されていましたが、前月同様に新規求人案件数と求職者数との割合が大きな影響を与えている模様です。
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
企業が新たな人材を求めて採用をかける新規求人数推移(季節調整値)を見ると、対先月比1.0%増(+33,256件)という結果となりました。ここしばらくは緩やかな右肩上がりの推移を見せていましたが、特にパート求人数が前月より+15,345件と大幅に増加しています。産業別の傾向を見ると、製造業(38.0%増)、宿泊業および飲食サービス業(23.3%増)、情報通信業(19.5%増)、教育,学習支援業(19.4%増)で増加。特にコロナ禍の影響を強く受けていた宿泊業と飲食サービス業の増加が、今回の新規求人数を押し上げた要因と考えられます。
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
ハローワークへ新しい仕事を求めて、求職登録した人数を示す新規求職申込件数推移(季節調整値)は対前月比0.9%増(+6,807件)と2ヶ月連続で増加となりました。求職者数も新規求人数とほぼ同じ比率で増加しているので、有効求人倍率も横ばいという結果となったことがわかります。
有効求人倍率に変化はありませんが、新規求人件数も求職者数も確実に増加傾向にあります。パート以外の数値が微減または横ばいではありますが、パートに関する需要と供給が市場の活性化に大きな影響を与えています。これまでも求人件数の多かった製造業や情報通信業は12月以降もこれまで同様の動きを見せるでしょうし、営業自粛のマイナスを取り戻そうと宿泊業や飲食サービス業も人材採用に力を入れていくことが見込まれています。12月も求人市場は活況の様子を示していくでしょう。
■毎月勤労統計調査速報2021年10月(2022年1月7日データ)
(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)
毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は280,398円で、前年同月とほぼ同じ水準という結果となりました。そのうち一般労働者が364,726円(0.2%増)、パートタイム労働者が99,281円(0.5%増)と微増。所定内給与については一般労働者が316,145円(0.6%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,223円(1.4%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.4%増と、給与水準は5ヶ月連続で増加(一般労働者1.3%増、パートタイム労働者1.4%増)となりました。この背景には就業形態計の所定外労働時間が10.1時間で4.1%増となり、残業による手当が増えたことによる影響が出ていると考えられます。特に時給労働であるパートタイムで、その傾向が1.4%増という結果に表れています。
労働異動においては「製造業」「運輸業」が、折からの人手不足で労働者総数の数値が減少。対して「飲食サービス業等」「教育・学習支援業」「医療、福祉」で大幅な増加となっています。これは特に増加傾向の著しい「飲食サービス業等」の業況回復に伴い、他業種への人材流出が一時的にストップしたと考えられます。もともと業況の良い業種での求人数は増加しているものの、実際の採用活動では伸び悩みも見受けられます。特に物流などでは、飲食サービスとの人材の取り合いになっていると考えられます。
■トピックス
今回は新しい年を迎えたこともあり、2022年の経済動向や人材市場動向について紹介しているニュースを紹介いたします。
〇2022年の景気見通し、8割超の企業が懸念していることは?
(マイナビニュース 2022年1月2日)
https://news.mynavi.jp/article/20220102-2240683/
帝国データバンクが発表した「2022年の景気見通しに対する企業の意識調査」によりますと、景気に悪影響を及ぼす懸念材料として「原油・素材価格の上昇」が82.5%という結果に。前年比では75.2ポイントも急増と、企業の危機感の高さが伺えます。なお、その他には「感染症による影響の拡大」が39.5%(対前年比57.9%)、「人手不足」が30.6%(対前年比11.1%)という結果も出ています。コロナ禍からの回復について懸念する企業も多く、慢性的な人手不足を課題に挙げるところも相変わらず根強く残っている様子が伺えます。
〇希望退職を募る上場企業、2年連続で80社以上 商工リサーチ調べ
(Yahooニュース 2022年1月4日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b7ce2975e54da4c512b76f047250152f6df68202
東京商工リサーチによりますと、2021年に希望退職者を募った国内上場企業は80社以上。前年の93社から若干数は減ったものの、2年連続で80社を超えたのはリーマンショックの2009年・2019年以来とのこと。消費が十分に回復せずに赤字となった企業だけではなく、黒字企業でも希望退職を募るケースも増えているそうです。これは脱炭素などの経営環境の変化に応じた事業の見直し、DX化などによる若手人材やデジタル人材を迎え入れるための人件費構成の見直しなどが影響を与えている模様。特に脱炭素においては石油化学における事業転換、自動車では電気自動車へのシフトが加速していることなどが根拠として挙げられています。
〇全15業界における「2022年転職市場の展望」- 多くの業界で採用が活発に
(マイナビニュース 2021年12月29日)
https://news.mynavi.jp/article/20211229-2239894/
リクルートが12月22日に発表した「2022年転職市場の展望」によりますと、IT業界は求人数がコロナ禍前の水準以上に回復し、過去最高レベルで採用活動が活発になっているそうです。これはコロナ禍で一時ストップしていたDX推進の動きが再加速化し、IT人材のニーズが高まっていることが背景に挙げられています。対してインターネット業界は他業界での活発な採用活動の煽りを受け、求職者一名が複数企業の内定を獲得することによる「内定辞退」に頭を悩ます企業が増加。選考スピードの違いが内定者の選択に大きな影響があると考えられ、最近では人事のみの面接を省くなど、採用リードタイムの短縮や工夫を行う必要があるとされています。活性化する転職市場において、採用の効率化と対応スピードの向上が今後の課題となっていくでしょう。
〇Indeedが「採用担当者の業務実態」に関する調査を実施 応募者と連絡がとれなくなる『ゴースティング』経験者74.9%にのぼる 最も重要な「面接」の実施に至るまでにはさまざまな課題が
(PR TIMES 2021年12月21日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000028842.html
Indeed Japanが企業において直近1年間で採用実務に従事している1,647名に対し、「採用担当者の実務実態」に関する調査を実施。採用業務における課題や問題意識において、「求める人物像と異なる人の応募が多い」ことが41.9%と最も高い結果となりました。その他にも「求人に対する応募が増えない」が40.7%、「面接日程・方法の調整にコストがかかっている」が21.7%という結果に。また、この調査で浮かび上がった応募者との連絡が取れなくなる『ゴースティング』においては、74.9%の担当者が経験。この背景には面接調整業務や書類選考にコストやリソースがかかっているなど、各種採用業務の効率化に課題があるとみられています。また、オンライン採用の影響により、アンマッチ人材からの応募増加も担当者の大きな負荷となっている模様です。
■まとめ
2022年は景気回復に数々の課題が残されているものの、人材市場はますます活性化していくことが見込まれています。足元ではオミクロン株の感染拡大でコロナ第6波の到来も目前となっていますが、これによって景気の大幅後退は考えにくく、人材ニーズもまた高いまま推移しそうです。
新規求人数が増えていくことは、同時に採用競合も増えることを意味します。必要な人材を他社に先駆けて採用していくためにも、今まで以上にスピーディーな施策の展開や採用プロセスの運用が求められます。
オンライン採用でアンマッチ人材が増えているならば、採用コンテンツの見直しを含む運用面の強化を。応募者への対応をスピードアップさせたいなら、チャットボットなど新しいITツールによる対応の自動化や工数削減を検討することも必要となるでしょう。従来の手法に固執することなく、柔軟な発想と先手を打つ行動力を発揮することで、今の時代とマッチした採用活動を行っていきましょう。
※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。